人と環境と木のはなし
コラム
ブナの木の車椅子
写真:秋田木工株式会社
インテリジェントビルで活躍する大型木製水槽
木製水槽の内側は塗装せず材を無垢のまま、接着剤を使わず金属製のベルトで締めて組み立てるので中の水が木材以外に触れることはありません。メーカー側は「材質の木材が有機質で水になじみやすい」「木材には適度な保温力があり、保冷効果が期待できる」としています。木の特性を少しでも知っている人が聞けば何となくうなずける効果です。コンクリートむき出しの機械室にある大きな飴色の木タンクは、毎日ビルを管理する人たちにも「ある種の安心感を与える」と、好評のようです。
写真:日本木槽木管株式会社
子ども達の生活を考えると納得-木造校舎
このような、賑やかで活発な学校生活を送る子ども達ですから、彼らを包む教室や体育館、廊下や階段には、肌触りが温かく、転んだときの衝撃を吸収し、声や楽器の音を程良く響かせる木材が使われていれば安心です。
また、視覚、聴覚を通じてゆったりした気分になれる木のある教育環境では、子供たちに疲労が少なく、イライラすることも少ないなど、情緒面によい効果があるという調査結果も発表されています。木造校舎ではインフルエンザによる学級閉鎖率が低いという報告もあります。
こうした木の効果に対する学校現場の関心も高まり、近年、木造校舎を建設したり、カウンセリングルームを木質化したりする例が増えてきました。
また、環境ホルモンの心配がないということで、木の給食器を使う学校も見られるようになってきています。
日本人の木材使用量は・・・
木の文化の国ともいえる日本ですが、だんだんそうではなくなってきています。現在、国民一人当たりの木材使用量は0.9立方メートル/人です。いくつかの木材生産国と比較してみるとその使用量は低いものです。
環境に負荷の少ない、再生可能な資源として木材が注目されている今、私たちの祖先が木とともに生きてきた知恵や経験を見直し、現代生活に取り入れる創意工夫が必要かもしれません。
主要国の用材の生産量と消費量(試算用)【1996年】
国名 | 消費量(推定値) (百万立方メートル) |
生産量 (百万立方メートル) |
自給率 | 一人当たり消費量 (百万立方メートル) |
アメリカ | 440.5 | 406.6 | 0.92 | 1.63 |
日本 | 111.4 | 22.5 | 0.20 | 0.89 |
カナダ | 81.2 | 181.3 | 2.25 | 2.74 |
オーストリア | 10.7 | 11.3 | 1.06 | 1.31 |
ドイツ | 50.2 | 35.5 | 0.71 | 0.61 |
フィンランド | 33.4 | 42.5 | 1.27 | 6.52 |
イギリス | 24.8 | 7.0 | 0.28 | 0.42 |