乾燥材のはなし
木は乾燥しないと住宅には使えないという時代がやってきた
そのため、ユーザーとメーカーとの間で、ひんぱんにトラブルが発生するようになりました。次に紹介するのは、実際にメーカーに寄せられたユーザーの苦情例です。
ユーザーの苦情 例
1 | 家が泣いている。 木は生きているのだから、と言われても・・・。 |
2 | 下地材の亀裂で、せっかく気に入っているクロスに大きなヒビが入った。 なんとかして~ |
3 | 家を建てて、まだ2年も経っていないというのに、梁にすき間が出来ている。はずれないか心配だ。 | 4 | 最初は、ピッタリしていたのに、建具が閉まらなくなったり、すき間が出来てきて、寒くて寒くて~。 |
これらの苦情は、一見すると、それぞれ、原因が別のところにあるような気がします。
ところが原因は、いずれも木を乾燥しないで使ったために発生したものです。
木は生きています。水分を吐いたり、吸ったりします。
しかも五感に大変優しい環境をつくりますが、最大の弱点は、反ったり、収縮したり、ねじれたりする点です。
施工後のトラブル発生経過
出典:「河崎弥生のレポート」より
しかし、こうした弱点は、木を乾燥して、含水率を20~15%ぐらいに下げたものにすることによって、木の性能や良さを損なうことなく、寸法的にも狂いがなく、強度のある優れた建築材料として、長く使うことができます。
表は、竣工後、トラブルが何年目に発生したかを、乾燥材と未乾燥材とで比較したものです。未乾燥材では年数が増すにしたがって、トラブルの件数も増えていくのに対し、乾燥材では3年以内のトラブルはほとんどなく、8年経過した段階でも、低く押さえられています。
後にトラブルを起こさないためにも、住宅を長持ちさせるためにも、始めから乾燥材を選んで使うことが必要な時代に入ったのです。
平成12年に施行された品確法(住宅品質確保法)によって、土台とか、柱・梁など、基本的な構造部分の瑕疵などに対し、新築後10年間はメーカーが責任をもつことが義務づけられています。
乾燥材かどうかは、JAS表示のラベルや木材の表面に刷られた墨つけで確認することが出来ます。
乾燥材は未乾燥材に比べて、多少値段が高いことがあります。しかし、後のトラブルを無くす事を考えると、最初から乾燥材を選んでおいた方が、得策と言えるでしょう。
社団法人 全国木材組合連合会
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社団法人 全国木材組合連合会 発行「木は乾燥しないと住宅には使えないという時代がやってきた」より