木材のすすめ

木材で建てられる構造と規模

建築基準の性能規定化により、火災が終了するまで倒壊や延焼を起こさないことが耐火性能検証法により確かめられれば、どのような地域・用途・規模であっても、木造で建てられるようになりました。なお、従来より以下のように、防火上の地域区分、建築物の用途、規模に応じて、一定の基準を満たせば、特に検証をしなくても木造で建てられます。
防火地域…準耐火建築物であれば、2階建て以下で、延べ面積が100平方メートル以下のものを木造で建てられます。
準防火地域…3階建て以下(地階を含まない)で、延べ面積が500平方メートル以下のものを木造で建てられます。なお、3階建ての場合は、柱やはり等を、通常の火災によって建築物が容易に倒壊しないような措置が必要となります。準耐火建築物であれば、3階建て以下で、延べ面積が1,500平方メートル以下のものを木造で建てられます。
22条区域…延べ面積が3,000平方メートル以下のものは構造上の制限なく建てられます。なお、屋根は飛び火に対して燃えない材料(木材も認定を得れば可能)などで葺くこと、外壁で延焼のおそれのある部分は、外装側を土塗り壁(裏返し塗りのないもの)などとし、内装側にせっこうボードを張ることが必要となります。
その他の地域…22条区域と同様、延べ面積が3,000平方メートル以下のものは構造上の制限なく木造で建てられます。
学校、病院、共同住宅などの用途…劇場、病院、百貨店、ホテル、共同住宅のように不特定多数の人が利用したり、就寝に使用されたりする建築物(特殊建築物)であっても、一定の規模や階数以下のものは準耐火建築物等にすることで、木造で建てられます。それ以上の規模の特殊建築物であっても、耐火性能を検証することにより木造で建てられます。


木造の準耐火建築物

柱など、表面が燃えても構造耐力上支障のない太さとし(燃えしろをとり)、壁、床、はり、屋根などに防火被覆を設けたり、開口部に防火戸等を設けた建築物をいいます。準耐火構造では、床や階段のけたや踏板に、図のような木材を使うことができます。以上は、火災による45分間の加熱の間、構造耐力上支障のないものですが、軒高9m、棟高13mを超える建築物や、木造3階建て共同住宅では60分間の加熱に耐えることが必要です。(1時間準耐火)

準耐火構造の例
準耐火構造の例

店舗…平屋建てまたは2階の延べ面積が500平方メートル未満の2階建ての場合には、木造で建てられます。平屋建てまたは2階建てで、床面積が3,000平方メートル以下の場合には、準耐火建築物であれば木造で建てられます。
福島県・小豆温泉交流施設「窓明の湯」
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木造3階建て共同住宅…防火地域以外では、一定の防火上の基準(1時間準耐火構造等)を満たせば、特に検証をしなくても建てられます。
※従来より防火・準防火地域以外の区域では木造で建てられましたが、平成11年5月から、準防火地域内においても建てられるようになっています。
長崎県・西海町営住宅丹納第二団地
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事務所…一戸建て住宅、長屋住宅、事務所については、延べ面積が3,000平方メートル以下で、3階建て以下の場合には、一定の防火上の基準を満たせば木造で建てられます。
四万十森林管理署窪川事務所
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民宿…農業や農村生活を体験できるグリーン・ツーリズムの宿。平屋建てまたは2階建てで、2階の延べ面積が300平方メートル未満の場合には、木造で建てられます。「その他の地域」では、茅葺き屋根とすることも可能です。これを上回っても、平屋建てまたは2階建てで、延べ面積 3,000平方メートル以下の場合には、準耐火建築物であれば木造で建てられます。
京都府美山町の農家民宿
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学校…平屋建てまたは2階建てで、延べ面積が2,000平方メートル未満の場合には、木造で建てられます。平屋建てまたは2階建てで、延べ面積が3,000平方メートル以下の場合には、準耐火建築物であれば木造で建てられます。
秋田県・能代市立崇徳小学校
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秋田県・横手市立栄小学校
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耐火性能検証法によりもっと木造で建てられる

政令、告示に基づく技術基準により、建築物での火災を予測し、主要構造部が火災終了まで耐えることを検証する方法です。

火災継続時間より保有耐火時間が長いことを確認
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検証法により木造建築物の設計を行う場合は、火災による温度上昇の影響を受けやすい部分は、不燃材料等で覆うなどの措置が必要であると考えられます。また、天上を高くしたり、大きい空間とすることで、火災時に熱がこもりにくくする場合などは、はりを木材のあらわしで用いることも可能と考えられます。
この他、主要構造部を耐火構造にしようとする場合、例えば、構造部材に集成材等を用い、これに耐火被覆、木製仕上げを行なう、あるいは、これは木造ではありませんが、鉄骨等に木製の厚板で被覆し、内装材として用いることで、耐火構造としての性能を確保するとともに木の質感を出す方法が考えられます。

耐火性能検証法による木造耐火建築物の実現例
大分県立日田高等学校新体育館
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兵庫県大屋町・あけのべドーム
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