木材のすすめ

こんなに使える木の外装

屋根、外装などの外装の基準は、防火上の地域区分に応じ以下のように異なりますが、その他の地域では外装を木材にできます。
防火地域などの屋根…防火地域、準防火地域、22条区域では、屋根は飛び火に対して燃え広がらないことや燃え抜けないことが必要です。一般的には、瓦などの不燃材料を葺きますが、燃えにくい加工をした木材でも、火の粉により燃え広がらないこと、燃え抜けないことが確かめられれば使えます。
準防火地域の外壁…延焼のおそれのある部分以外であれば、防火上の制限はないので、表面を木材にできます。
22条区域の外壁…延焼のおそれのある部分以外であれば、防火上の制限はないので、延焼のおそれのある部分であっても、土塗り壁などの準防火構造とし、その外側に木材を張ることができます。
※22条区域やその他の地域であっても、延べ面積が1,000平方メートルを超える木造建築物については、延焼のおそれのある外壁や軒裏を鉄鋼モルタル塗などの防火構造とし、屋根を飛び火に対して燃えないような材料とする必要があります。

準防火区域の木造建築物は、延焼のおそれのある部分である外壁及び軒裏を防火構造とする
準防火区域の木造建築物は、延焼のおそれのある部分である外壁及び軒裏を防火構造とする。


外壁に木材を用いることが可能に

平成12年6月の建築基準法改正により、防火構造や準防火構造等に必要とされる性能が明確化されました。例えば、防火構造(非耐力壁)の外壁の場合は、30分間の遮熱性(加熱面の裏側の温度が一定以上とならない性能)が要求されています。ここで防火構造の性能を持つ壁に木材の板を張った場合の性能を考えてみます。この場合、もともとの防火構造の遮熱性に、木材の板の持つ遮熱性が加わるので、壁全体の遮熱性は向上すると考えられるため、このようにして木材を使えます。なお、外壁を真壁にして木材をあらわにしたり、外壁の内装側に木材を使ったりすることもできます。

外壁に木材の下見板張り
外壁に木材の下見板張り


制限を受ける木造建築物の明確化により外装の制限が緩和

平成12年6月の建築基準法改正により、準防火地域や22条区域の外壁の制限を受ける木造建築物が、自重又は積載荷重等を支える部分を木造としたもの、と明確化されました。
このため、たとえは平屋建てで、柱、はりの自重、積載荷重等を支える部分を軽量鉄骨等とした場合には、上記の外壁の制限がかからないため、準防火地域や22条区域であっても、自重、積載荷重等を支えない外壁に木材を使用することが可能です。

神奈川県横浜市・S邸 外壁/不燃木縁甲板張り
神奈川県横浜市・S邸 外壁/不燃木縁甲板張り

秋田県・角館町営住宅雲然団地「さくらぎの里」 外壁(腰)/スギ板下見張り
秋田県・角館町営住宅雲然団地「さくらぎの里」 外壁(腰)/スギ板下見張り

石川県鶴来町・手作り木工館「もく遊りん」 外壁/スギ板下見張り
石川県鶴来町・手作り木工館「もく遊りん」 外壁/スギ板下見張り


木のドアやサッシ

延焼のおそれのある部分や、耐火建築物などで防火上の区画をする場合の開口部には、防火戸を設ける必要がありますが、国土交通大臣の認定を受けた木製ドア、木質系ドア、木製サッシが使用できます。これらの木のドアやサッシには、主構成材料として木材や、木材と不燃材料との積層材料などを用いたもので、ドアでは周辺部に熱膨張性の防火材料を張ったもの、サッシでは網入りガラスをはめ込んだものなどがあります。
※平成12年の建築基準法改正により、従来の乙種防火戸が防火設備に、甲種防火戸が特定防火設備という名称に変わっています。

木の防火戸(20分の遮炎性能)
木の防火戸(20分の遮炎性能)

木の防火戸(60分の遮炎性能)
木の防火戸(60分の遮炎性能)


ログハウス

ログハウスの中には、準防火地域や22条区域で建てられる壁構造として国土交通大臣の認定を得ているものがあります。この場合は、ログの寸法や形状、熱膨張材の入れ方などの防火措置の仕様が決められています。

22条区域で建てられる例
22条区域で建てられる例

宮城県・南郷町交流の森&交流館「でんえん土田畑村」
宮城県・南郷町交流の森&交流館「でんえん土田畑村」